まずは、そもそも、なぜ僕がPythonを勉強しようと思ったのかについて振り返っておく。
コトは、今春、僕の「農」と並ぶもう一つのライフワークの「日本のものづくり復権」に向けてある本と出会ったことから始まった。今年の4月から5月にかけて、藤野直明さんと 梶野真弘さんが書かれた『第4次産業革命』(日経BP社)、安宅和人さんの大作『シン・ニホン』(NewsPicksパブリッシング)にあるきっかけで出会い、強烈にインスパイアされたのだ(『シン・ニホン』については以前書いた)。
特に、安宅さんが言う「AIレディ」な人たちが日本復活のためには不可欠であり、シニアを含めた人材育成ができるならまだ間に合うという『シン・ニホン』の主張に大いに触発された。AIレディな人たちのベースとなるAI技術や機械学習、深層学習などを体感したいと思ったこと。そうしたツールを実装するための主要プログラミング言語にPythonが使われていると知ったこと。もし僕程度の人間がこの年からでもある程度Pythonを身に着けられるのであれば、日本には優秀なシニアエンジニアは山ほどいる。ならば、安宅さんの言うAIレディな能力を持ったシニアエンジニアが続々と生まれるんじゃないか、そんなことを実証できるはず。そう思ったことがそもそもの始まりだった。
そこに、2つほど後押しすることが重なった。
1つ目は、年長の知人がPythonを学び始めたことを知ったこと。前の職場で苦楽を共にした食べ友のTさんとLINEでやり取りをしていたら、Tさんが最近AIの活用をするためにPythonを学び始めたというのだ。これを聞いて、俄然Pythonに興味が湧いてきた。
2つ目の後押しは、長年の趣味である将棋のほうからやってきた。この頃、新四段(プロ)になり東大の博士課程在籍中という二刀流で話題になった谷合廣紀さんが、Pythonの本『Pythonで理解する統計解析の基礎』という本をプロになる前から上梓していて、新四段になって棋戦の解説に呼ばれた時にこの本が増刷になったことがうれしいと語っていた。この解説を見ていて、この本を読みたいと思ったこと。谷合四段の頭の中はどんなふうになっているんだろうという好奇心だ。ただ、この本を読むためにはPythonを理解しないといけないわけで、Pythonを勉強したいというモチベーションは一気に高まった。
なんか、いろいろなことがPythonをやれって言っているような状況だった。そんな風に感じたというか、感じようとしたというか。まあ、これは縁かもなと。いくつかのことが重なって僕は還暦からのPython学習をスタートさせたのだった。 (以下、続く)